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HAインプラントとは

HAインプラントはチタンの表面に使われている材料がハイドロキシアパタイトと呼ばれ顎の中で積極的に骨と結合しようとする生体活性材料です。 ※ハイドロキシアパタイトとはリン酸カルシウムでできた歯や骨を構成する成分のことで、 エナメル質は97%、象牙質の70%がハイドロキシアパタイトで構成されています。 歯磨剤に配合されたりしています。 エナメル質の表面には見た目には分からない 微小欠損(小さなきずのようなもの)が 無数にできています。 これが脱灰(虫歯になりかけ)につながります。 虫歯はエナメル質が溶け始めることにより始まります。 ハイドロキシアパタイトは唾液中のミネラルイオンに作用して、 初期虫歯や、微小欠損の再石灰化を促進することができます。 コーティングは剥がされるのではないか?感染しやすく進行が早いのではないか?などといった疑問の声が聞かれますがHAインプラントの臨床はすでに15年を経過しています。 HAインプラントによる使用率・支持率は米国でも予想以上に高く、特にカルシティックHAインプラントの治療成功率は99.5パーセントです。 HAインプラントと骨との結合はチタンのオッセオインテグレーションとは異なります。 オッセオインテグレーションとは実際には骨とインプラント体の結合がなく下の顕微鏡の写真でもわかるようにすき間が少しあいていることがわかります。 HAインプラントはバイオインテグレーションといい、周囲骨との間にはカルシウムが沈着し顕微鏡でみるレベルでも骨と生化学的に結合します。 HAコーティングインプラントが素材として優れている理由にはまさにこのバイオインテグレーションによるものです。
電子顕微鏡下におけるオッセオインテグレーションの状態。 チタンと骨は完全に接触していない。
電子顕微鏡下におけるバイオインテグレーションの状態。 HAと骨はカルシウムブリッジによって直接結合する。
チタン製のインプラントがオッセオインテグレーションを獲得する為には、手術で骨を削る時、インプラント表面と骨の間隙を数十ミクロンレベルの精度で削る必要があります。 なぜ精密に削らなくてはいけないかというとインプラントとドリルで削った骨に隙間があると、骨とインプラントがくっつかないのです。 ということは、ドリルで削っている時に、中心がずれたり、ドリルがブレたりしてしまうとインプラントはくっつきません。 極めて正確なドリル操作が必要となってくるわけです。 また、骨の状態が悪いケースで、骨梁がないような場合ではオッセオインテグレーションを行うことはできません。 それに対してHAインプラントは、かなり、骨との間隙があってもバイオインテグレーションすることが分かっているため、ある程度隙間のある削り方や骨の状態が悪い場合でも高い成功率があります。 HAインプラントは歯を失ってブリッジを入れる為、健全な歯を削らなくてはならない方や取外し式の入れ歯しかないという方に、適応となります。 入れ歯では、咀嚼能力は固定式(インプラント)の三分の一程度になると言われています。
  チタン HA
結合様式
オッセオインテエグレーション バイオインテグレーション
治療期間
約6ヶ月から12ヶ月 約3ヶ月から6ヶ月
適応症例
患者様の骨の状態により適応できない場合もある 適応症例がチタンよりも幅広くなった

インプラントとは

インプラントとは、金属などを顎骨に植え込んで、咬合を回復する人工歯根のことです。歯科インプラントは「局部症義歯や総義歯を維持するために口腔粘膜、歯周組織あるいは骨中に挿入した無機物材料の人工的補強材」という狭義の定義から始まり、咀嚼機能の回復を主な目的として長年応用されてきました。 最近では様々な材料やシステムが開発され、基礎的データに加えて多くの臨床報告が行われ、一定の信頼が得られるようになっています。 従来の報告では、ダメになるインプラントは1年以内の早期にインプラントが動揺したり、痛みがでるなど症状が現れ、5~6年の間にトラブルが発生するといわれていました。 最近の報告では長期経過観察をされた症例が少ないとはいえ、以前に比べて予後の経過が良好です。 ただし、インプラント治療が成功する条件には、術者の技術や知識のみならず、患者の全身状態、骨量・骨質など口腔局所状態、口腔内衛生管理ならびに経済状態も含まれます。 高齢者になると残存する歯数も少なく、多数歯欠損顎もしくは上下無歯顎症例が多くなります。 補綴後比較的短期間に全身的に大きな変化を来しやすい高齢者への適応の可否という問題があるものの、条件が揃えば高齢者補綴治療のひとつのオプションとして有用であるといえます。

分類

多結晶アルミナ(酸化アルミニウム)やハイドロキシアパタイト(骨および歯のミネラル類似物質で、カルシウムのリン酸塩の総称)緻密体は機械的強度、加工性の点から臨床の要求には応えられるものではなかったようです。 ニッケルはチタンに比べ骨組織との親和性が劣るものの、形状記憶という特性があり、臨床応用が期待されますが、一般的ではないようです。また、チタンとハイドロキシアパタイトを接着剤で結合させたインプラントは結合部にトラブルが生じることがあります。 一般的にはチタンおよびチタン合金を、インプラント材と骨組織や歯肉などとの親和性や結合性を考慮し、ハイドロキシアパタイト被覆、酸エッチング、機械研磨などの表面処理が施されたものが臨床応用されています。 動物実験によれば、骨組織とインプラント材の反応という観点からみると、ハイドロキシアパタイトおよび表面をハイドロキシアパタイトコーティングされたチタンは術後早期から新生骨形成能をもち、骨質の乏しい部位や抜歯早期の部位などにも応用できると考えられています。

◆ 1回法
1回の手術でインプラントの埋入から補綴まで行えますが、インプラントの 一部が常時口腔内に露出しているため、食塊などの負荷がかかり、十分 な骨結合が得られない危険があります。
◆ 2回法
まず、歯肉骨膜弁をおこしてインプラントを顎骨内に完全に埋入します。 治癒期間を経て歯肉に切開を加えインプラント頂部を露出させ歯肉 貫通部を装着し、上部構造を製作します。

従来の義歯との比較

長所

部分的な歯牙喪失に応用した場合、将来の歯数の減少の際に柔軟に対応できる。
隣在歯が大きな修復物の支台となっているような場合には、単独歯の修復にも応用される。
“入れ歯といえば老人“というような義歯による心理的影響が少ない。
上顎では、嚥下・発音に重要な硬軟口蓋境界域の感覚を低下させることが無く、下顎では舌の運動が制限されない。

短所

術式が繁雑で、治療期間が長い。
インプラント治療とそれに続くメインテナンスに関しては全て私費治療で費用は高額となる。 術後管理が容易ではなく、天然歯あるいは従来の可撤式義歯以上にメインテナンスが必要である。

(予後不良の場合、インプラント除去を行うが、インプラント再埋入位置が理想的歯列弓を維持できない部位に限定され、不規則な咬合面を形成し、十分な咬合が得られなくなることがある。さらに高度な骨吸収があり、再植不能になれば、従来の総義歯はもちろん補綴処置による咬合改善はより困難になる。)